03.他愛もない会話

「今日もイヌカシの所で犬の世話をしたんだ」

殆どが本で生め尽くされている部屋の中で二人、夕食と言うには程遠い今日のなけなしのご飯を食べていた。

「へぇ、また頼まれたのか。イヌカシの奴、偉くお前さんを気に入ってるんだな 」

ネズミが今日市場で買って来た鶏肉で作ったスープを一口飲んだ。

「この前生まれてた子犬が廃墟の周りを駆け回ってたんだ。少し危なっかしかったけど、成長って早いもんなんだね」
「そうかい。俺は犬が増えて餌代に苦しむより、それをスープにでもして腹を満 たした方が良いと思うけどな」

ネズミはパンを千切って口に含んだ。
うっすら表情には笑みが浮かんでいた。

「ネズミ! そんなの可哀想だろ。イヌカシにとって犬は家族なんだ」

積み上げられた本の上にいた鼠達が驚いてベットの下に隠れた。

「そんなにムキになるなよ。冗談の通じない坊ちゃんだな」
「ネズミの冗談は分かりにくいんだ」
「はいはい、わかりましたよ陛下」

感情的になっている僕に反して涼しい顔をして夕食をとっているネズミ。
何だかネズミの余裕を見せつけられているみたいだった。

「ネズミ、前に犬は好きだって言ってなかったっけ?」
「まあ、犬はお前さんみたいに甘ちゃんじゃないからな。でも育てるってなったら別だろ」

ネズミはスープの最後を一気飲みした。
そして席を立ったかと思うと、

「では、私はお先に眠らせてもらいます」

と腕を前にやり、深く頭を下げてすぐにベットへと身を翻した。 夕食時の他愛もない話。




話短いw
そろそろイヌカシを出したいよ。